抄録
本研究では, 鋼製型枠と発泡スチロールから構成される簡易断熱温度上昇試験装置を試作し, その測定結果からコンクリートの断熱温度上昇曲線を推定する方法について検討した. 断熱温度上昇曲線のパラメータを推定するために, 有限要素法により, 簡易断熱試験体の中心温度を推定した. 中心温度の推定値と測定値が一致するまで, 計算を繰り返し, 断熱温度上昇曲線のパラメータを決定した. この推定方法の精度を検証するために, 水循環式の断熱温度上昇試験機による試験結果との比較を行った. 比較試験では, 同一配合のコンクリートを使用し, 打設温度を11, 21, 32℃と変化させた断熱温度上昇試験を行った. その結果, 断熱温度上昇曲線の終局断熱温度上昇量の差は最大で1.5℃の範囲に収まり, 水循環式の結果と簡易断熱試験による推定値は良好な一致を示した. 以上の結果から, 提案した推定法の有効性を確認した.
