抄録
降雨により一時的に急増した河川流量は, 下流側にダムがなければ貯留されることがないため, 受益地での需要量以外は使用されずに下流へ放流される. この使用されない水 (余剰水) は渇水年であってもある程度生じており, その利用は渇水対策として有効と思われる.余剰水を頭首工の上流側に設置した調整池に貯水し, 河川自流量では用水が不足している場合に放流することにより, より効率的な用水の運用が可能となる. この場合, 調整池の容量がダムに比べかなり小さいものであっても, 短期間に貯水と放流を繰り返すことによって, 調整池の効果を高められると考えられる. そこで, 本研究では水不足傾向にある用水系を対象として余剰水の算定を行うとともに, 余剰水を有効化する調整池の運用方法の効果をシミュレーションにより検討した.