農業土木学会論文集
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重粘土転換畑における本暗渠に浅層暗渠を組み合わせた暗渠排水システムの排水特性
足立 一日出細川 寿吉田 修一郎松崎 守夫
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2002 年 2002 巻 220 号 p. 473-479

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抄録
北陸地域の重粘土水田を長期に転作し, 安定的に大豆一大麦一キャベツの2年3作が行えるよう, 本暗渠間の中間に, 本暗渠に平行して深さ約40cmの浅層暗渠を施工し, 圃場の排水改善を試みた.本論文では, そのような本暗渠に浅層暗渠を組み合わせた暗渠排水システムの排水特性について検討した.その結果, 転換初期には本暗渠だけでは排水効果が悪く, 浅層暗渠を施工することによって暗渠排水量が大きく増加した.暗渠排水量の多くは浅層暗渠からの排水量で, それらは作土の過剰な水の迅速な排除に貢献した.その後, 経年的に本暗渠からの排水量が増加し, 転換4年目には, 本暗渠1時間最大排水量が浅層暗渠1時間最大排水量より多くなり, 5年後には本暗渠からの排水量は, 亀裂などの土壌構造が発達した構造発達区のそれに近づいた.また, 5年後においても, 大きな降雨の場合には, 本暗渠だけでなく, 浅層暗渠からの時間最大排水量も多く, 転換畑の作土の迅速な排水と地下水位の低下に重要な役割を果たした.
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© 社団法人 農業農村工学会
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