農業土木学会論文集
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表層融雪水の積雪内浸透に関する一考察
青山 滋伸倉島 栄一加藤 徹向井田 善朗
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2002 年 2002 巻 221 号 p. 621-628

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抄録

融雪期の融雪の多くは積雪の表層で発生し, 表層融雪水は時間の遅れを伴いつつ地表面に至る.融雪洪水を予測するためには, 表層融雪水の積雪内における浸透機構を明らかにする必要がある.
本研究では, 融雪水の地表面到達量および気象要素の観測を行い, 熱収支法によって推定された表層融雪量と実測された地表面到達量を比較した.その結果, 両者の時間変化に差が生じることが明らかなった.さらに, 極地方の積雪や氷河域を対象に用いられている浸透解析手法を適用し, 推定された表層融雪量を入力値として, 地表面到達量を推定したところ, 融雪のピーク以降では良好な再現性が得られた.その一方, 浸潤前線の形成にあずかる浸透量を無視したことによるロスは表層融雪量に対して平均で19%であった.

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