抄録
有限要素法を適用した計算機実験において, 各種土性のz=L/2 (熱電対をロヅド中央部に配置した条件) において測定した熱的性質の測定値を入力値とし, 数値計算より算出した温度変化一経過時間 (△T-t) 曲線から, 出力値としての熱的性質を求めることを目的に逆解析を行った. 4種類のロヅド長L (L=1.25cm.L=2.5cm.L=5.0cm.L=10.0cm) の条件とロッド長方向に設置した仮想熱電対の配置位置が異なる条件 (ロヅド方向zに対する位置,z=0 z=L/4, z=L/2, z=3L/4およびz=L) とにおいて双極熱パルス法を適用し, 仮想試料内の温度分布と△T-tを計算した。計算した△T-tデータに対して非線形回帰法を適用し, 体積熱容量と温度拡散係数を求め, 各位置zおよび各ロッド長Lにおいて測定したときの熱的性質の体積含水率依存性を評価した. 熱パルスを発生させた後の仮想試料内の温度変化は, ヒータープローブが有限長であることにより, ロヅド長Lが短いほどr=0 (rは放射座標距離) の鉛直方向の軸に対して円筒状に分布することなく卵型に分布する傾向にあった.△T-tの形状は各位置が各ロヅド長Lにおいて大きく異なったが, 最大温度変化△Tmは, 常にz=L/2において最大になることを確認した.また, ロヅド長Lが長くなるほど, 最適位置z=L/2における等熱的性質線が相対ロッド長L軸に対して平行に分布した.