農業土木学会論文集
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農業水利紛争へのゲーム理論の適用に関する考察
元杉 昭男
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2003 年 2003 巻 227 号 p. 651-656

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抄録

渇水年において河川取水をめぐって, 新たに開発された上流の農業利水団体と古くから河川水を利用してきた下流団体との間に発生した水利紛争および古田優位から上流優位へという水利慣行の成立に非協カゲームのモデルの適用を試みた.その結果, 合理的な選択として, 紛争に伴う人的物理的コストを考慮すれば, 政治権力が介入しない限り, 上流団体が上流優位行動をとり, 下流団体 (古田側) がそれを容認する帰結となり, 古田優位は成立しない. この場合に古田側が監視等の予防措置を取れば, 紛争コストと予防措置コストの和が渇水時の総被害を上回らない限り, 古田優位も成立し得ることが明らかになった. ゲーム理論の適用が水利紛争の構造解明に有益である.

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