農業土木学会論文集
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多変量解析を用いた沿岸施設園芸地域における地下水水質の経年変化およびその影響因子の検討
柳川瀬 賢幸藤原 拓大年 邦雄
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2005 年 2005 巻 240 号 p. 611-620

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抄録
沿岸施設園芸地域における地下水水質の経年変化およびその影響因子の検討を目的として, 計20地点を対象とした地下水水質調査を年1回の頻度で同時期に5年間実施した. 調査結果から, 栽培作物の変更にともなう施肥量の変化が地下水中の硝酸性窒素濃度の経年変化に影響しており, 自浄速度係数の値が小さいと推定されている地点では・年々硝酸性窒素濃度が増加していることが明らかになった. また, 調査によって得られた全ての時空間水質データをクラスター分析によって分類した結果,(1) 地質固有の水質を保持する「重炭酸・カルシウム」型のクラスター・(2) 施肥の影響を受けたクラスター,(3) 海水侵入の影響を受けたクラスター,(4) 施肥および海水侵入双方の影響を強く受けたクラスター・に大別でき, 多くの地点ではクラスターの経年変化はみられなかった. しかしながら, 施肥量および散水量が多い栽培作物に変更された地点では, 5年間でクラスター分類が変化するほどの水質変化が生じ, 施肥量・散水量・揚水量および土壌薫蒸が対象地域の地下水水質変化の重要な影響因子であることが示唆された.
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© 社団法人 農業農村工学会
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