抄録
夏季の農業排水路に生息する水生動物の多様性 (魚類・水生昆虫類) と水生動物の多様性に影響を与えると考えられる環境因子との関係を考察した. 島根県安来市の水田地区において, 2004年7月に, 魚類, 水生昆虫類, 水質, 水路の物理的環境 (水深・流速・水路の護岸部・植生被覆率・水面下の土壌占有率・水路幅) について調査を行った. 調査対象地では, 魚類に関しては11種水生昆虫類に関しては14種確認された. また, それぞれの調査地点において, 魚類, 水生昆虫類に区分してShannon-Wienerの多様性指数を算出し, 水質および物理的環境との間で重回帰分析を行った. その結果, 魚類に関しては, T-N, DO, COD, SS, 植生被覆率, 水面下の土壌占有率が重要な環境因子であるとの結果が得られた. 同様に, 水生昆虫類に関しては, DO, NO2-N, 植生被覆率, 水面下の土壌占有率, 水路幅が重要な環境因子であるとの結果が得られた.