抄録
集水域からの流出負荷量はこれまで様々な方法で推定されてきた. しかしながら, 我が国では負荷量推定値の確からしさについての議論は十分になされておらず, 推定値の相互比較や利用が困難であった. 米国では推定法と精度についての研究・議論が継続的になされており, 特に1998年以降のTMDLsの実施に伴い, その重要性が広く認識されてきている.本研究展望ではこれまで主に米国で行われてきた集水域からの流出負荷量の推定法とその確からしさについての研究を概観し, 負荷量計算法とサンプリング戦略の2つの観点から最も偏りのないと評価されている負荷量推定法を整理・紹介し, 流出負荷推定量の不確かさの観点から, 有望な推定法を提示するものである.