メタン発酵プラントにおける運転状況の現状把握を行うために, 運転記録や原料, 生成物等の成分分析結果からメタン発酵過程, 消化液固液分離過程での重量, 炭素, 窒素, リン, カリウムの収支を求めた. また, 生成される消化液及び消化液を固液分離した液分である脱水ろ液の肥料特性について考察した. その結果, メタンとして取り出せた炭素は投入された原料に含まれる炭素の9.8%にとどまつていた. 原因は発酵不適合物である敷料のオガクズが多量に混合したふん尿を原料としているためであり, メタンの生成効率を高めるためには, プラントと畜産農家が一体となつて取り組む必要があることが示唆された. 消化液, 脱水ろ液は, アンモニア態窒素とカリウムを多く含み, 速効性のNK肥料であると判断された. また, 脱水ろ液は浮遊物質が取り除かれ, 取扱性が向上している.