抄録
松山市北梅本地区にある大池は, 同地区にある同規模のシダノシタ池より, リンの流入負荷量が少ないにもかかわらず, 富栄養化している. 調査の結果, その要因として以下のことが明らかとなった. 制限栄養塩であるリンに着目して考察すると, 物理的環境 (滞留時間, 平均水深) と沈降・溶出毅の違いがこれらの池の栄叢の差異を引き起こしている. 大池はシダノシタ池に比べ水深が浅いため, 鉛直混合しやすい. そのため, 底泥から溶出したリンが容易に上層に運ばれ, それを利用して植物プランクトンが増殖する. さらに, 大池は底樋取水のため, 灌概が始まると成層が弱められる. このことがさらに富栄養化を進行させている一因に挙げられる.