抄録
本研究では, 乾季の卓越した気候下の流域における灌概計画への適用を可能とする, 適切な蒸発散サブモデルを組み込んだ分布型水文モデルの基本構造を確立した. このモデルは格子分割による分布型モデルであり, 各格子セルは2層の貯留タンクからなる. その上層を根群域と考え, 酒井のETサブモデルの考えをそこに適用した. 構成されたモデルをメコン川支流のプレック・タノート川上流域に適用した. その結果, 実蒸発散量は蒸発散能と土壌乾燥度から適正に計算されており, また流量計算ではPeam Khleyステーションにおける実測値とよい一致をもったハイドログラフが得られた.