2003 年 13 巻 2 号 p. 32-40
『源氏物語』の本文研究はまだまだ途上にある.その大きな原因は写本の調査が不完全なことにある.今後とも世界中に存在するであろう未紹介・未翻刻の写本の調査・翻刻がおこなわれなくてはならない.一方,これまで調査された本文データおよびこれから調査されるはずの本文データを,研究者間で資料を共有するためにどのように整理すべきか,あまり議論されてこなかった.本稿ではまずCSV形式によるデータかんりについて述べ,ついで異文校合ツール「kogetsu」と諸本総当たりツール「kakai」によるCSVファイルの処理について述べる.数多くの写本の資料が蓄積されていったとき,こうした処理ツールが大きな役割を担うこととなろう.