抄録
本研究は,日本文学および日本語学分野の雑誌に掲載された論文著者の属性について検討したものである.1993 年~2005 年の中から4ヶ年を選択し,7タイトルの雑誌から,のべ約3000 名の著者について,その性別や所属を集計した.結果は,日本語学の分野での先行研究での結果を補強すると共に,そこで提言されていた女性や外国人研究者の活躍が示唆されるものであった.また,大学など従来から研究機関として考えられている機関以外に所属する著者が全著者の20%前後を占め,研究者の裾野が広がっていることが判明した.日本文学や日本語学は研究の開始から発表までのサイクルも,研究動向の変化も自然科学系と比較すると長期に及ぶことが指摘されている.そのため,今後も継続的にデータを収集してゆくことにより,長期的な傾向が明らかになることが期待できる.