情報関連装置への入力以前の問題として、客観的世界に働いている完全合理性とそれを認識する人間の限定合理性との関係を議論する。完全合理性は人間が認識するという立場からは、「2 つの対象を人間がある観点から見た時に、本来同じと認識すべき事、異なると認識すべき事」と表現できる。これは、同時点の別の2 つの対象や、ある時点での対象と経時変化を経た後の同じ対象との間で成立し、異なり方は部分と全体の間で、さらに、経時変化を経る間に外部から働く作用と部分あるいは全体との間で一対一対応である。一方、人間の認識は不完全であり、それ故に限定合理性といわれる。このうち、特に異なると認識できていない時、対立や矛盾が生ずる事をパラドックスを用いて明らかにする。そして、この限定合理性を完全合理性に近づけてゆくためには、部分と全体との関係について問題意識を持つ事が重要で、これが概念分析の本質であることを示す。