2018 年 28 巻 4 号 p. 282-289
2017年4月にオープンした近畿大学東大阪キャンパスの「アカデミックシアター」、その中央に位置する図書棟「ビブリオシアター」は、従来の大学図書館の常識を越えた試みとして広く注目を集めた。松岡正剛(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長)が企画・設計・監修し、独自の知の体系を元にマンガや新書も大胆に配した書架スペースは、実学的・文理融合的なリベラルアーツ感覚を喚起する触発空間として、大勢の学生で賑わっている。その図書空間を司る知の体系が、松岡正剛と編集工学研究所が近畿大学とともに構築した「近大インデックス」と呼ばれる情報知識資源である。ここでは、「近大インデックス」の構成に加え、大学図書館における活用から今後の展開可能性にいたるまでを概観する。図書十進分類法を下敷きにしつつ、まったく新しい分類によって出現したこの本の空間のキーワードは、「編集力」と「連創力」である。