2019 年 29 巻 4 号 p. 356-360
現在,我が国の人文社会科学データはデータを共有するインセンティブがないことから研究データが死蔵され,散逸することが危惧されている.
そこで日本学術振興会は研究者が共にデータを共有・利用しあう文化を醸成し,データ分析に基づく研究の飛躍的発展を目的とした人文学・社会科学データインフラストラクチャー事業を新設し,データを共有する基盤の構築を進めている.
本発表ではこの事業で弊所が構築している総合的データカタログについて取り上げ,地域資料の継承と情報資源化について検討する. データカタログとはこれらの機関が管理する研究データのポータルサイトであり,日本の人文学社会科学データを横断的したデータ検索環境である. 現在は本事業に参加する研究機関のメタデータを機械的に収集できるシステムを構築しているが,将来的にはこのデータカタログに直接,地域資料等の研究データとメタデータを登録できるように設計する予定である.