2021 年 31 巻 2 号 p. 186-191
高齢化に対応するため,厚生労働省は地域包括ケアシステムの下での施設間連携を推進している.その充実には,地域の施設間での診療情報提供書の情報共有と二次利用が望まれるが,紙面での自由記述によるやり取りのため,利用は患者紹介時の一過性のものにとどまっている.この現状の克服のために我々は,診療情報提供システムの構築に向けて,実際の記載内容の所定様式11 への準拠性の評価と内容構成のカテゴリ化を進めてきた.本研究では,準拠性の評価と紹介目的のカテゴリ化の結果に基づき記載内容のテキスト分析と共起ネットワークの構成を行った.その結果,準拠性や紹介目的に応じて,記載内容の傾向の違いが出現単語の種類,語数,共起関係を通して捉えられることが確認された.