情報知識学会誌
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31 巻, 2 号
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  • 2021 年 31 巻 2 号 p. 157-158
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー
  • 西澤 正己, 孫 媛
    2021 年 31 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

    我々は大学に関連したプレスリリースを調査しており,それは近年大幅に増加し,新聞への掲載も増加している.また,新聞への掲載率が原論文の掲載誌や分野に依存していることも分かってきた.しかし,新聞掲載の要因の分析にはプレスリリースと非対応の学術記事の抽出も必要である.ここではプレスリリースと対応した新聞報道記事を教師データとした機械学習により新聞報道中の学術ニュース記事(速報記事),フィーチャー記事(特集記事)の抽出を試みる.

  • 村井 源, 石川 一稀
    2021 年 31 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     日本語の会話の文体は話者の属性や,話者と聴者の関係性など多種多様な要因によって複雑に変化する性質をもっている.本研究では日本語の自称詞,対称詞の表現の多様性に着目し,物語会話文においてどのような表現が用いられているかを現代日本語書言葉均衡コーパスに基づいて調査し分類を行った.また,同時に用いられやすい自称詞・対称詞の組みあわせのパターンを因子分析により抽出した.

  • 宇田 朗子, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     これまでキャラクターに関する研究において,外見についての研究や男性キャラクターにのみ着目した研究は行われてきたが外見以外の魅力に着目した研究や女性キャラクターにのみに着目した研究はあまり行われていない.本研究ではキャラクターの誘因魅力と継続魅力の違いに着目し,女性キャラクターの魅力についての分析を行った.キャラクターのどのような要素に魅力を感じているかアンケートを行い,回答を収集した.アンケートの結果を用いてカイ二乗検定を行い,誘因魅力と継続魅力に魅力的要素の違いに有意な差があることが明確になった.また,アンケート結果を用いて因子分析を行い,どのような要素の組み合わせに魅力を感じるかを調査した.結果として,キャラクターを印象付ける要素が誘因魅力,あとから追加できる要素が継続魅力として有力であることが分かった.

  • 保田 洋, 川向 肇, 西村 治彦
    2021 年 31 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     プロジェクトマネジメントに触れる機会が少ない中小企業で,知識や経験が乏しい人材が体系化された方法でプロジェクトを管理するのは困難である.そこで著者らはこれまで,中小企業に対して,失敗したプロジェクトの事例について内容等の収集を実施し,失敗回避に向けた分析を行ってきた.本研究では,これまでの研究から得られた失敗リスク要因に対して共起ネットワーク等を適用し,リスク対応を検討するうえでリスク要因の関係性の分析を行った.

  • 石﨑 潤, 吉岡 正昭, 西村 治彦
    2021 年 31 巻 2 号 p. 186-191
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     高齢化に対応するため,厚生労働省は地域包括ケアシステムの下での施設間連携を推進している.その充実には,地域の施設間での診療情報提供書の情報共有と二次利用が望まれるが,紙面での自由記述によるやり取りのため,利用は患者紹介時の一過性のものにとどまっている.この現状の克服のために我々は,診療情報提供システムの構築に向けて,実際の記載内容の所定様式11 への準拠性の評価と内容構成のカテゴリ化を進めてきた.本研究では,準拠性の評価と紹介目的のカテゴリ化の結果に基づき記載内容のテキスト分析と共起ネットワークの構成を行った.その結果,準拠性や紹介目的に応じて,記載内容の傾向の違いが出現単語の種類,語数,共起関係を通して捉えられることが確認された.

  • 後藤 佑斗, 三原 鉄也, 永森 光晴
    2021 年 31 巻 2 号 p. 192-197
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     Web上で提供されるマンガには内容に基づく探索のためにタグやキーワードなどの主題語が付与されているが,意味的な探索のための構造化が不十分で,その活用は限られている.本研究では日本十進分類法(NDC)の持つ主題の意味関係に即した探索のために,Web上でマンガと共にその内容を示すタグおよびマンガのあらすじの2種の情報を利用して,マンガと主題に基づくLinked Data版日本十進分類法(NDC-LD)を機械的に結びつける手法を提案する.タグを利用した手法ではNDC-LDの相関索引語とタグの文字列の類似度に基づいて同一性を判定しリンキングを行った.あらすじを利用した手法ではあらすじ文中のNDCの見出し語と相関索引語についてTF-IDFを用い,特徴語として抽出されたものをリンキング対象とした.更に,マンガ146作品に対してこれらの提案手法を適用し,人手による分類及び機械学習によるNDCの推定手法と比較した結果,提案手法が人手での分類の再現に有効であった.(393文字)

  • 西川 開
    2021 年 31 巻 2 号 p. 198-203
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     本研究では,新型コロナウイルス感染症が日本の研究活動に与えた影響を詳細に把握するために,1,717名の研究者を対象とするアンケート調査により2020年1月頃から同年9月にかけての研究活動の状況を尋ね,回答者の所属地域と研究分野による違いに着目した分析を行った.分析の結果,コロナ禍による研究活動への影響の程度や研究活動の進捗状況,コロナ禍への対応策であるデジタルツールの活用状況は地域によって大きく異なることが示された.また,研究分野によって,研究活動を行っていく上での現状の懸念等は異なる傾向にあることが明らかとなった.

  • 渡邉 憲二, 箕輪 弘嗣
    2021 年 31 巻 2 号 p. 204-210
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     COVID-19 が蔓延する中で,社会的な変化だけでなく,個人の生活や行動にも影響がみられている.そこで,人々の考えや社会的な反応を俯瞰することを目的として,Twitter のツイート内容から得られる質的データに着目した.Twitter のツイートには,リアルタイム性が強く,様々な情報や意見を含んだ投稿が多い.このツイート内容から得られる質的データを解析することで,COVID-19 の今後の対応や取り組みにも活用が可能となる.

     本研究では,Twitter のツイート内容を対象に,テキストマイニングからツイート傾向を確認する.また,新型コロナウイルス感染の拡大によるツイート内容の変化も検討する.

  • 本田 正美
    2021 年 31 巻 2 号 p. 211-223
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     2016年末に官民データ活用推進基本法が施行された.同法施行前から,2012年には電子行政オープンデータ戦略が策定され,オープンデータの公開が国と自治体で推進されてきた.データ活用に関する法律制定が自治体におけるオープンデータ施策の推進に影響を及ぼすのか.本研究は,オープンデータ着手済の自治体の対象に,官民データ活用推進基本法に基づく官民データ活用推進計画の策定状況を確認することで,その影響の有無を確認する.

  • 長塚 隆
    2021 年 31 巻 2 号 p. 224-229
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

    神奈川県全市町村を対象に市町村史,市町村勢要覧,広報誌等の地域資料のデジタル化とオープン化の現状について国立国会図書館デジタルコレクション,WARP,および神奈川県立図書館横断検索,各市ホームページや図書館OPACにより該当資料のメタデータおよび原資料のデジタル化とオープン化について調査し,当該地域資料のデジタル化とオープン化の現状を明らかにした.今後のデジタル化とオープン化をより一層促進するための方策を提案した.

  • 山島 一浩
    2021 年 31 巻 2 号 p. 230-233
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     AIの学習システムが画像の分類や話し言葉の理解などの有用なタスクを達成できるようになった.Webシステムで,AI計算を実行できるようになった.AIシステムに画像の認識を教えることは重要である.そこで3学年の学生にテストとトレーニングをやらせてみた.最初にトレーニング例を提供して,特定の画像がどのように見えるかを学習できるようにする.学生は,実例をやってみて,興味をもち,自分のAIシステムを組みだした.

  • 小川 雄太, 宮本 行庸
    2021 年 31 巻 2 号 p. 234-243
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     弱視生徒は,アクセシビリティの設定によりICTを有効に活用している.特にiPad等のタブレット端末は,弱視生徒の学習環境を飛躍的に高めるツールの一つであると捉えられる.そこで,本研究においては,弱視生徒の日常におけるICT利用状況を踏まえ,iPadによるノートのデジタル化を図った授業実践に取り組んだ.その結果,iPadによるノートのデジタル化は,内容理解の促進,家庭学習の促進等において有効であった.

  • 村川 猛彦
    2021 年 31 巻 2 号 p. 244-251
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     大学1年生向けの授業において,C言語のソースコードを与えて打ち込ませる「タイピングによるプログラミング学習」を実施しており,週1回の授業を通じて文法知識などの継続的の定着が期待される.授業で使用した59個のソースコードに対して,printfや++などのトークンに分割してから集合演算を行うことで,授業で学んだ書き方を後の授業で活用しているかを定量化することを試みた.

  • 青柳 明佳
    2021 年 31 巻 2 号 p. 252-257
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     今日、人文科学分野における専門特化型データベースへのアクセス数は減少しつつある。最大の要因としては、いわゆる教育人口の減少に伴い、主要ユーザーが減っていることがあげられる。また専門家が利用するために作られたデータベースは、その専門性の高さゆえに万人向けとはいい難い。そのため、専門家の人数が減少すればおのずと利用頻度も下がることになる。人文科学分野における専門特化型データベースの認知度と利用頻度を上げ、重要性が再認識されるためには何が必要だろうか。単独では利用者数や認知度を増加させることが難しい場合は、相互協力をすれば利用頻度を上げ、重要性を認知させていくことは可能なのだろうか。以上を踏まえたうえで、公共性が高く、万人に利用されるデータベースとはどういうものなのか、「国文学論文目録データベース」を用いて検証を試みる。

  • 横山 拓也, 箕輪 弘嗣, 渡邉 憲二
    2021 年 31 巻 2 号 p. 258-263
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     近年,SNSは若い人を中心に普及し,それに付随して,企業も率先して利用しているメディアである.しかし,SNSでは炎上と呼ばれる激しい議論が生じてしまう事例がある.本研究では,炎上の早期解決を支援するためのシステムの開発を目指している.本論文では,システム実現のため,Twitterで炎上したツイートのスレッドを対象に複数の機械学習法を用いて意見の賛成派,反対派の分類を機械学習で試みた結果,1例だけだが,86.6-88.1%の精度で分類できた事について報告する.

  • 岩田 和樹, 箕輪 弘嗣
    2021 年 31 巻 2 号 p. 264-269
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     本研究では,Text-to-Speechサービスを利用し,PowerPoint内のテキストを音声ナレーションへ変換し,印加するコードの開発を試みた.結果, Google TTSを利用した音声ナレーションを印加できるようになった.ただし,それだけだと聞き取りづらいという問題点があった.しかし,タイトル前後に無音を印加する工夫をしたことで,タイトルと本文に区切りがついて,聞き取りやすくなったと感じられる.また,新たな問題点を発見することができた.使用したライブラリでは,スライドを開いた時に,添付されたオーディオファイルを自動で再生を開始するauto-play設定をONにする事ができていない.今後は,今回実現できなかったことを研究し,より完成度の高いものを実現しようと考えている.

  • 田中 蓮, 箕輪 弘嗣
    2021 年 31 巻 2 号 p. 270-275
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     現代の日本は高齢化社会と言われ介護は誰しもが他人事ではなく,親の面倒を見ないといけない可能性がある.そのため,誰しもが職業上の訓練や準備など無しに介護に従事する必要が生じる可能性がある.そこで本研究はAIによる見守りの目を増やし,事故を未然に防止するため,危険察知システムを開発する.介護者の負担を軽減させることを目的に深層学習を用い介護の中でも最も危険な事案である転倒に焦点を当て,どんな危険があるかを明らかにし,そのシステムの設計をした.本論文では,介護における危険を調査した結果と,危険察知システムの設計内容について報告する.

  • 白鳥 孝幸, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 276-282
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     質の高い物語を自動生成させるためには,各物語類型の物語構造や文体的特徴を明らかにする必要がある.本研究では,長編恋愛小説を対象に,因子分析によって恋愛ジャンルにおける文体の特徴を明らかにすることを試みた.その結果,「好」・「悲」の二感情において,女性キャラクターは序盤,男性キャラクターは終盤の描写が恋愛ジャンルを特徴付けているなど,登場人物の性別によって描写の特徴が異なることが確認できた.

  • 逢坂 駿也, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 283-288
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     物語テキストでの発話者と会話文を紐付けたデータはさまざまな応用が可能であるが,従来発話者の特定が困難であった.そこで本研究では,会話文の話者推定に有用な特徴として文体に着目し,日本語物語テキストの会話文を文体に基づき人手で分類した.また機能語を用いて文体の推定を行うアルゴリズムを開発した.先行研究の手法では分類の正答率は5 割ほどであったが,提案手法では8 割を超える結果となった.

  • 大川 慎
    2021 年 31 巻 2 号 p. 289-294
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

    近年では,インターネット上において様々な言語のコンテンツが投稿されており,複数言語のテキストを対象とした分析も多く行われている.ここで,感情分析において,言語横断的な分析に利用できる感情辞書はあまりない.単一言語での分析を想定された辞書も利用できれば有益であると思われる.本研究では,辞書に含まれる感情極性値の他言語への適用について,複数言語に翻訳された小説のテキストを用いて検証する.検証した結果,一定の有効性を確認することができた.

  • 植杉 京佳, 大槻 明
    2021 年 31 巻 2 号 p. 295-300
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     内閣府男女共同参画局の資料でも示されているように,現在日本では,女性活躍に資する働き方改革の推進が国を主体となって進められている.そこで本研究では,女性就業者数が多い地域と少ない地域の特徴的な違いや共通性を明らかにするための計量アプローチについて提案する.実証実験では,e-statで公開されている,「労働」,「福祉・社会保障」データを用いて試行的に本提案アプローチを検証した.

  • 細川 怜椰, 松村 敦, 宇陀 則彦, 堤 智昭
    2021 年 31 巻 2 号 p. 301-309
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     本研究ではオタクの定義を「特定の趣味に深くのめりこむ人々」とし,特に「アニメ・漫画にのめり込む人々」に焦点を当てる.「オタク文化」の一つに,「布教」と呼ばれる行為がある.「布教」を推薦行為と捉えた研究を行いたいが,「布教」そのものがまだ明らかになっておらず,基礎研究が必要である.本研究では,「布教」の実体を明らかにする足がかりとして,オタクが「布教」を行う際の意識や態度を明らかにすることを目的とした.手法にはPAC 分析を用いて,2020 年9 月から2021 年3 月までに6 名の協力者に調査を行った.本稿ではそのうち3 名についての分析結果を報告する.分析結果より,「布教」において布教相手の存在を意識していることがわかった.意識の方向性は「相手の好み」のように共通している部分もあったが,三者三様であった.

  • 石川 一稀, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 310-317
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     昨今,意欲的に進められている物語の分析は一次創作作品を対象としたものであり,二次創作作品を対象としたものは少ない.そこで本研究では二次創作作品研究の第一歩として,各作品の特徴を表すと考えられるジャンルや登場人物などの属性を探索的に調査し,複数属性に基づく作品のデータ化を行った.得られたデータに対して計量的な分析を行った結果,二次創作作品の典型的な3種類の物語パターンなどが明らかになった.

  • 吉田 拓海, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 318-324
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     神話は物語の原型であると考えられており,物語自動生成において神話物語は大きな価値があるといえる.しかし,シンプルかつ基本的な物語構造をもつ神話とは異なり,現代物語の構造は複雑であると考えられている.そこで,神話物語の構造と神話を原型にした現代物語の構造を比較し,原型から物語生成を行う方法を考察する.分析の結果,神話物語の主人公の行動と現代物語の主人公の行動に異なる構造が存在することが明らかになった.

  • 中村 祥吾, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 325-332
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     近年,ロールプレイングゲームの物語の構造抽出と自動生成が可能であることが明らかになった.しかし,分析に取り入れられていたのは物語における連続構造だけであり,より複雑かつ自由な物語展開の自動生成には入れ子構造,並列構造と言った物語構造を取り入れる必要がある.また,内容についても分析に取り入れる必要がある.そこで,本研究においてはロールプレイングゲームにおけるクエスト間の連続構造,入れ子構造,並列構造といった基本的な物語構造と物語内容の記述・分析手法を提案した.提案手法を用いて合計331 個のクエストにおける基本的な物語構造の記述と抽出を行い,それと関連させて物語内容も記述と抽出を行った.そして,抽出結果と実際の物語の比較を行うことで,提案手法の有効性を検証した.今後の課題として,提案手法の客観性の担保を行う検証の必要がある.

  • 佐藤 千尋, 高久 雅生
    2021 年 31 巻 2 号 p. 333-342
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     閲覧履歴は生活の様々なシーンにおけるインターネットを通じた情報収集行動を記録したデータで,個人経験を記録・保存するライフログの一部である.本研究は日常生活の記録としての閲覧履歴活用を目指す.用途として過去の行動を分析し自己理解や行動改善を獲得する振り返りに着目する.提案システムは閲覧履歴内の主題分析によってWeb ページの内容想起,主題と閲覧時系列に基づく閲覧履歴の可視化によって閲覧の背景想起を支援する.本システムの振り返り支援効果を検証するため,実際の閲覧履歴を入力に用いて評価を行った.結果,内容想起について,Web ページの特徴語抽出が成功した場合は十分な支援が得られた.背景想起について,主題と時系列の組み合わせにより可視化した閲覧履歴によって当時の思考や生活イベント等が想起された.提案システムを用いた振り返りは当時の情報収集行動や生活に関する有益なリフレクション獲得を促すと示唆された.

  • 楊 之卓, 高久 雅生
    2021 年 31 巻 2 号 p. 343-354
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     情報検索プロセスでは,ユーザが複数のクエリを入力し検索を繰り返すことで目的を達成することが多い。従って,ユーザの検索意図をより正確に発見するため,検索行動からユーザのクエリに対する満足度の推定は重要な課題の1 つとなる.本研究ではクエリを時系列に並べ,ユーザのクエリレベルの満足度を推定する手法を提案する。提案手法は,クエリ満足度の予測によく使われているクリックデータ、間隔時間とクエリ修正を特徴量とする。加えて,修正クエリと先行クエリの検索結果との関連はクエリ満足度に影響を与えるかを考慮する。これら4 つの特徴量を組み合わせてクエリ満足度の推定を行う.評価実験から,クエリとドキュメントの関連度により,推定効果がクエリ修正のみと比べて約6 ポイント向上させたことが分かったが,4 つの特徴量を使う際,71.27%の正解率となり,最良の結果が得られなかった.本論文で,それに対して失敗分析を行い,改善策について検討し報告する.

  • 松田 雛乃, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 355-360
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     本研究では日記の重要性に着目し,日記文章の自動生成を目指す上で有用となる文章構造の分析を行った.執筆者の属性による影響を想定し,老年男性・老年女性・若年男性・若年女性の4カテゴリにおいてブログから日記文章を収集した. 収集したブログ記事中の各文の機能を人手で分類して記号化し,n-gramを用いて文の時系列的構造を分析した.その結果,日記文章の基本的な文章構造は執筆者の属性に影響されないと判明した.

  • 根本 さくら, 村井 源
    2021 年 31 巻 2 号 p. 361-368
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル フリー

     これまで日本語エッセイでは,用いられているメタファー以外のレトリックや,文体的な特徴などの計量的分析はほとんど試みられていない.そこで本研究では,エッセイに平均的に用いられるレトリック等を明らかにするために筆者の異なる2 作品を対象とし,使用されているレトリックのデータ化を行った.また得られたデータに基づき,χ二乗検定,因子分析などを用いてエッセイで使用されているレトリックの特徴を計量的に抽出した.

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