情報知識学会誌
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海外学術情報基盤が提供する機関向けダッシュボードの比較分析
池谷 瑠絵大波 純一金沢 輝一西岡 千文高久 雅生山地 一禎
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電子付録

2024 年 34 巻 1 号 p. 3-17

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抄録

 近年,世界的にオープンサイエンス(OS)推進の施策が進められ,研究者への論文や研究データの公開要請が強まっている.研究者のOS参加を促すには,OS活動が広く貢献として認められるような新しい研究評価が求められる.欧州のOpenAIREと英国のCOREは,公開された多様な研究成果物を集約し,OSモニタリング指標に基づいた透明性や公平性を備えた研究評価を支援する,大学や研究機関向けのダッシュボードを提供し始めている.本研究ではOpenAIREとCORE,大学等で研究評価に利用されてきたInCitesとSciValを対象として,主に公開資料を元に,提供指標を「提供」,「資金」,「成果」,「OS」,「共著・共同」,「引用」,「影響力」,「その他」に分類して,それぞれの提供数を調査し,比較した.結果,複数の分類区分に複数のダッシュボードからの提供指標群が見られ,ダッシュボードに共通部分があることがわかった.また,OpenAIREとCOREでは,永続識別子付与率等のFAIR原則遵守を示すOSモニタリング指標が観察され,InCitesとSciValとの違いが見られた.さらにOpenAIREでは,引用や協働に関する研究評価指標を準備中であり,今後共通部分が増すことが示唆された.

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