日本国際看護学会誌
Online ISSN : 2434-1452
Print ISSN : 2434-1444
看護実践における異文化間コミュニケーションの促進のための課題と方策に関する文献検討
岩田 真弓堀込 由紀
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2021 年 4 巻 2 号 p. 12-22

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抄録
目的:外国人患者へのコミュニケーション及びケアの質の向上への示唆を得るため、国内外の先行文献から異文化間コミュニケーションの課題と、効果的なコミュニケーションを築くために必要な方策を検討した。
方法:2008年から2018年までの間に発行された国内外の文献をレビューの対象とした。それぞれ日本語・英語でのキーワードの組み合わせにより6つのデータベースを利用した。PRISMAプロトコールを活用して選択基準を満たした国内文献15件、海外文献15件の合計30件の文献を分析対象とし、類似性に沿ってグループ化し、テーマを決定した。
結果:異文化間コミュニケーションの諸課題として「異文化理解の乏しさ」、「ケアプロセス、アウトカムへの影響」、「多言語対応サービスの不足やアクセスのしにくさ」、効果的なコミュニケーションを築くために必要な方策としては、「看護師への学習機会の提供」、「多言語対応サービスの効果的な活用」、「信頼関係の形成と援助関係の構築」のそれぞれ3つのテーマが抽出された。
考察:外国人患者へケアを提供する看護師の異文化理解とコミュニケーション能力を高めるための学習とは、学習者のニーズに合わせた多様な教育方法の提供による学習者中心のアプローチが必要であると考える。また、多言語サービスの効果的な活用では、認証された通訳者との協働や図、絵、カード、トランスレーションブックなどのビジュアルエイドの活用で正しい情報の提供と理解の促進により、患者や看護師の安心とケアの質の向上に繋がる。言語が異なる場合はノンバーバルコミュニケーションも活用し、相手を理解しようとする姿勢、違いを受け入れ肯定的に歩み寄ろうとする関わりが信頼関係の形成や援助関係の構築に関して有効であることが示唆された。
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© 2021 日本国際看護学会
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