日本国際看護学会誌
Online ISSN : 2434-1452
Print ISSN : 2434-1444
最新号
日本国際看護学会誌 第8巻第2号
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  • 長嶺 めぐみ, 辻村 弘美, 大植 崇, 森 淑江, 山田 智恵里
    原稿種別: 原著論文
    2024 年8 巻2 号 p. 1-11
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/05/15
    [早期公開] 公開日: 2024/07/05
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    目的

    国際看護学は内容が多岐に渡るため全てを一人で教授するのは難しく、かつ担当教員の不足も教育上の課題である。これに対応するため、看護基礎教育における国際看護学講義およびIT環境の実態を明らかにし、国際看護学講義の遠隔教育システムの導入への示唆を得ることを本研究の目的とした。

    方法

    厚生労働省ホームページ上の「看護師養成所一覧」記載の専門学校、大学、高等学校・専攻科5年一貫教育学校 、短期大学計1,075 校の学部・学科責任者、科目責任者を対象に無記名式質問用紙を配布・回収した。調査期間は2021年3-4月であった。

    結果

    416校より回答があり、不備のない411校を分析の対象とした(有効回答率38.2%) 。82.9%の養成所で国際看護学関連の講義が開設されていた。専門学校、5年一貫校は大学より必修としている割合は有意に高かったが、多くが統合科目と合同で行われていた。専任教員の配置率は、全体で68.7%であった。養成所別の講義時限数は、中央値で5‐8時限であった。国際看護学関連の講義における「定義、基本的概念」に当たる項目は高い実施率を示していた一方、「国際協力としての看護の実際」は全項目実施率が50%以下であった。「在留外国人への看護」は実施率60%であったが、この専門性を有している教員は、全体の18.3%であった。90.8%の養成所で、学生は講義でパソコンを含むディバイスを使用しており、86.4%の養成所が、Wi-Fi環境を有していた。大学は専門学校、5年一貫校より有意にWi-Fi環境が整っていた。E-learningのシステム保有率は、全体で38.7%であり、大学は65.6%で専門学校より有意に高かった。

    結論

    本研究では、国際看護学講義において補完が必要であると明らかになったのは、近年対象者数が増大している「在留外国人への看護」と「国際看護協力の実際に関する内容」であり、これに対する具体的な支援が必要である。Wi-Fi環境は良く普及しているが、E-Learningシステムはあまり普及しておらず、遠隔教育システムの導入は可能であるが、大学以外の養成所への遠隔教育促進の働きかけが必要であることが明らかとなった。

  • スーディ神﨑 和代, 土谷テオリン ちひろ, 飯塚 美佐子, 橋本 友美, 葛西 好美, 吽野 智哉, 佐藤 鳳玲, 中村 摩紀
    2025 年8 巻2 号 p. 12-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/15
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    背景

    A大学国際看護学部(以下、A)は2021年に国内で2番目の国際看護学部として開設され、グローバルな視点で様々な文化背景を持つ対象者を理解し尊重できる看護職者育成を理念としてあげている。この理念の下、教員及び学生の国際的基礎力を養う活動として、開学年度より国際交流シンポジウム(以下、シンポジウム)を開催してきた。学生の国際的活動に関する意識や期待の実態を明らかにし、本学部における国際的活動の方向性を検討すると共に異文化理解を深める学習環境を整えることを目的に第3回シンポジウム後にアンケート調査を実施した。本稿ではアンケート調査結果から本学部における国際的活動の方向性の検討と異文化理解を深める学習環境の検討に資する内容を分析し報告する。

    方法

    シンポジウムに参加したA看護学生19名とB大学国際教養学部に所属する留学生(6カ国11名)を含む30名の学生を対象に質問紙調査を行った。2.5時間のプログラム終了後に、研究の目的・方法・倫理的配慮を口頭で説明したうえで研究の協力依頼をし、無記名自記式質問紙を参加者全員に配布し、各自が自由意思で回収ボックスに投函する形で実施・回収した。結果は単純集計と回答の意味内容の類似性に基づきカテゴリーに分類した。医療創生大学倫理委員会の承認を得て実施した。

    結果/考察

    調査用紙の回収率は90%、意義があったと答えた学生は100%であり、学生全員が国際交流の継続に強い関心を示した。また、看護学生は他国についての知識が乏しいことに気づいたことが明らかになった。要因として、インターネットやSNS等で諸外国やそこに住んでいる人々について漠然とした印象は持っているが具体的な実態を持った交流に至っていないことが考えられる。一方、留学生は日本人との交流に興味関心があるが、日常生活で日本人と親しく交流する機会は限定的であることが明らかになった。

    結論

    今回の調査から、シンポジウムが看護学生と留学生のどちらにとっても有益であることが分かった。同時に、看護学生が持っている海外についての情報は実体験に基づいておらず正確ではないことや留学生が日本で孤立しがちであるという課題も浮き彫りになった。これらの結果を本学部における国際的活動の方向性と学習環境の整備の検討に反映させ教育機関としての解決策の模索が求められる。

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