炎症・再生
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慢性関節リウマチに対するTS-110の臨床評価
―インドメタシンを対照薬とした二重盲検比較試験―
水島 裕市川 陽一柏崎 禎夫菅原 幸子長屋 郁郎廣畑 和志延永 正岩崎 由雄
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2001 年 21 巻 3 号 p. 243-272

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抄録

慢性関節リウマチに対するTS-110の臨床的有用性を評価するため, インドメタシンを対照薬として, TS-1101日12mg分3 (T群) , インドメタシン75mg分3 (I群) で6週間経口投与し, 二重盲検法により比較検討した.
(1) 総投与例は189例 (T群95例, I群94例) であり, ITT対象症例は有効性, 安全性, 有用性いずれも179例 (T群89例, I群90例) であった.
(2) 背景因子には「性別」 (p=0.0560) , 「併用薬の有無」 (p=0.0312) 以外, 偏りは認められなかった.
なお, 本偏りの改善度に及ぼす影響についてMantel-Haenszel法などにて検定を行った結果, 影響は認められなかった.
(3) 最終全般改善度において, 「改善」以上の改善率は, T群, I群それぞれ29.2% (26/89例) , 16.7% (15/90例) であり, T群の有効性は, I群と同等であった. (4) 副作用発現率は, T群, I群それぞれ20.2% (18/89例) , 26.7% (24/90例) であり, 症状別では消化器症状がT群で13件, I群で17件, 皮疹, そう痒感の過敏症がT群で1件, I群で1件, めまい, 頭痛などの精神・神経系の症状がT群で1件, I群で11件, 臨床検査値の異常変動がT群で11件, I群で7件に認められた.
(5) 概括安全度において, 「安全である」の安全率はT群, I群それぞれ79.8% (71/89例) , 73.3% (66/90例) であり, T群の安全性は, I群と同等であった.
(6) 有用度において, 「有用」以上の有用率はT群, I群それぞれ28.1% (25/89例) , 14.4% (13/90例) であり, T群がI群より有意 (p=0.0256) に高かった.
(7) その他副次評価項目では, 最終評価日における「満足」以上の患者の満足度はT群がI群より有意 (p=0.0164) に高かった.
以上より, TS-110の12mg/日投与は慢性関節リウマチに対し, インドメタシン75mg/日投与と同等の有効性, 安全性を有し, 患者の満足度を反映した評価では有用性の高い薬剤であると判断された.

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© 日本炎症・再生医学会
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