2006 年 2006 巻 595 号 p. 595_21-595_39
保険契約者等の故意によって生じた損害について保険者を免責するという故意免責規定に関して,故意の意義,故意の対象が論じられている。特に故意の対象の問題については,様々な議論がなされているが,基本的な対立点の源は故意免責において保険契約者等の主観的態様における悪性をいかに位置づけるかにあるものと思われる。本稿では,故意免責は主観的態様における悪性に対する否定的評価に基づくものではなく,保険者の保険引受上の問題であるとの見地から,これらの問題についての解釈論を検討する。