この論文は,バブルの清算から現在までの厳しい環境変化に翻弄された日本の生命保険会社の経営効率の変化を追う中で,生命保険業を対象に生産関数を推計する際の課題を明確化にすると共にそれを踏まえた新しい経営効率指標の提案を目的とする。
経営効率性の計測にどのような関数形(コブ・ダグラス型,トランスログ型など)や計測方法(パラメトリック,ノン・パラメトリック)を用いても,生産物の選択により,生産性の計測結果が大きく左右される。生産関数の推計には,保険会社の行動原理にあった生産物の選択が求められる。
個別会社の生産性の計測には,修正基礎利益を生産物とした生産性が重要であり,確率的フロンティア生産関数の手法により計測した生産性を標準偏差で除した「E/R指数」が,生命保険会社の経営効率を評価する指標としてふさわしい。
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