抄録
首都圏は太平洋プレート,フィリピン海プレート,陸側プレートの三重会合点に近く,複雑なプレート構成からいろいろな地震が発生する。そのうち,来るべき直下地震として活断層の地震が考えられるが,その発生確率はそれほど大きくない。フィリピン海プレートでもやや深い部分のプレート境界地震は震源域が首都圏の直下に相当し,その発生の切迫性も高いため,強震動予測レシピによる強い揺れの予測が行われている。そのうちの首都直下地震(東京湾北部地震)による被害総額は112兆円にも達すると予測されている。海溝型地震のうち,相模トラフに関係する地震は1923年に関東地震が起きているため発生確率は高くない。これに対して南海トラフに関係する地震はどれも発生確率が高く,東海地震などは86%にもなる。こうした地震では首都圏に長周期地震動がもたらされる可能性も指摘できる。大大特プロジェクトによりフィリピン海プレートの形状モデル,関東平野の地下構造モデル,250mメッシュ地形地盤分類図などが作成され,強震動予測の高精度化に貢献することが期待されている。