抄録
関東地方,東海地方,東南海地方,南海地方という,日本の国富が相対的に多く集積する地域に,近未来,大震災が高い確率で生起することが予想されている。だが,それへの的確な対応が企業にも家計にも採用されている証拠はさほど多くない。このような問題意識の下,経済産業省は2005年に「リスクファイナンス研究会」を立ち上げ,都合7回の会合を重ね,2006年3月にその報告書を公表した。本稿では,大震災に対して,ロスプリベンション,リスクコントロール,リスクファイナンスなど多様なリスクマネジメントを,先進的かつ積極的に手がけてきた,(株)オリエンタルランドの事例を追跡することにより,企業組織は常に内外の経営環境を巡るリスクの態様の変化に柔軟に適応することが肝要なことを明らかにする。