保険学雑誌
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2007 巻, 597 号
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【査読済み論文】
  • ―事業費率関数を用いたパネルデータ分析―
    柳瀬 典由
    2007 年 2007 巻 597 号 p. 597_1-597_30
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    わが国損害保険産業は,1998年の実質的な料率自由化の後,大型合併など,業態内統合を短期間に経験してきたが,こうした動向は今後も続くのだろうか。この点を議論するためには,規制緩和後になぜ,業態内統合が進展するのかという点を説明しなくてはならない。そこで,本研究では規制緩和後のわが国損保産業の集中度を測定するとともに,同じ期間の個別企業レベルのデータを用いることによって,わが国の損害保険産業における規模の経済について実証的に検証した。分析は,保険引受に関する事業費,損害調査費,代理店手数料など事業費の区分別,ならびに保険種目別に行った。実証分析の結果,一貫して規模の経済が確認されたが,それが働く程度については,保険種目,事業費の範囲によって異なった結果が得られた。このことは,今後の業態内統合が,企業全体としてではなく,保険種目や業務別の統合によるほうが,費用の節約が期待できるということを示唆している。
第12回 AIDA アルゼンチン大会に出席して
「大震災と保険」―平成18年度大会共通論題―
  • 野村 修也
    2007 年 2007 巻 597 号 p. 597_67-597_68
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
  • 纐纈 一起
    2007 年 2007 巻 597 号 p. 597_69-597_85
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    首都圏は太平洋プレート,フィリピン海プレート,陸側プレートの三重会合点に近く,複雑なプレート構成からいろいろな地震が発生する。そのうち,来るべき直下地震として活断層の地震が考えられるが,その発生確率はそれほど大きくない。フィリピン海プレートでもやや深い部分のプレート境界地震は震源域が首都圏の直下に相当し,その発生の切迫性も高いため,強震動予測レシピによる強い揺れの予測が行われている。そのうちの首都直下地震(東京湾北部地震)による被害総額は112兆円にも達すると予測されている。海溝型地震のうち,相模トラフに関係する地震は1923年に関東地震が起きているため発生確率は高くない。これに対して南海トラフに関係する地震はどれも発生確率が高く,東海地震などは86%にもなる。こうした地震では首都圏に長周期地震動がもたらされる可能性も指摘できる。大大特プロジェクトによりフィリピン海プレートの形状モデル,関東平野の地下構造モデル,250mメッシュ地形地盤分類図などが作成され,強震動予測の高精度化に貢献することが期待されている。
  • ―オリエンタルランドの地震リスクマネジメントの変容過程―
    高尾 厚
    2007 年 2007 巻 597 号 p. 597_87-597_101
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    関東地方,東海地方,東南海地方,南海地方という,日本の国富が相対的に多く集積する地域に,近未来,大震災が高い確率で生起することが予想されている。だが,それへの的確な対応が企業にも家計にも採用されている証拠はさほど多くない。このような問題意識の下,経済産業省は2005年に「リスクファイナンス研究会」を立ち上げ,都合7回の会合を重ね,2006年3月にその報告書を公表した。本稿では,大震災に対して,ロスプリベンション,リスクコントロール,リスクファイナンスなど多様なリスクマネジメントを,先進的かつ積極的に手がけてきた,(株)オリエンタルランドの事例を追跡することにより,企業組織は常に内外の経営環境を巡るリスクの態様の変化に柔軟に適応することが肝要なことを明らかにする。
  • 山本 信一
    2007 年 2007 巻 597 号 p. 597_103-597_118
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    日本は,少子高齢化が続く過程で,東京一極集中を強化しつつあり,地震・核テロ・鳥インフルエンザ等のリスクは,RMS社の調査等によれば,予想外に高まっているように思われる。
    日本の生保業界においては,核テロ等の可能性を考えた場合,昼間にビル単位でどれだけの付保がされているかを試算しておく必要もあろう。東京都の昼間人口調査(2000年)では,皇居も含めた千代田区の昼間人口密度は7万3千人/km2となっており,皇居を除いた人口密度は一層高く,丸の内再開発で,極度の集中化が一層進みつつある。
    これへの対応策としては,
    (1) ビル単位で,再保険への出再を検討する。
    (2) 約款の保険金支払免責条項に,テロ・地震を戦争その他の変乱と同様に,保険金削減の対象である旨,明記する。
    などが考えられるが,それ以外も含めた集積リスクの検討が必要であろう。
  • 竹井 直樹
    2007 年 2007 巻 597 号 p. 597_119-597_137
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    地震保険が誕生して40年をむかえた。地震保険が法律に基づいて創設された特異な制度であることもあって,これまでいろいろな変遷を経て今日に至っている。しかし,最近の地震保険制度をめぐる動きはさらに変化をもたらすものになる可能性がある。
    そこで,本稿では,こうした今日の環境変化を踏まえながら,わが国の地震リスクがそもそもどのような性質を持っていて,どのような対策が講じられてきたのか,そして地震保険制度がこれまで,あるいは今後どのような位置付けや意義を有していくのかを整理し,そのうえで,地震保険制度が抱えている課題等を改めて検討する。
  • 2007 年 2007 巻 597 号 p. 597_139-597_145
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
【書評】
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