保険学雑誌
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火災保険契約における故意の事故招致に関する一考察
-保険契約者の免責を中心として-
西原 慎治
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2010 年 2010 巻 610 号 p. 610_57-610_74

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抄録

商法641条後段(保険法17条本文)の適用を巡っては,保険契約者と被保険者とで保険者が免責をされる趣旨は異なるものと解する。被保険利益を有する被保険者は,保険事故の発生にとって経済的利益を享受する者であるために,保険事故の原因事実の惹起行為そのものに免責の根拠が認められるが,これに対して保険契約者の場合には,被保険者に保険金を取得させようという意思の中に免責の根拠が認められる。したがって,商法641条後段ならびに保険法17条本文との整合的な解釈を行うのであれば,保険契約者と被保険者との間の「密接な関係」によって保険契約者が被保険者に保険金を取得させようという「第三者(被保険者)への詐取させる意図」があったと推定させることとなり,保険契約者の側でこれに対する反証が挙げられない限り,保険者免責の効果が及ぶこととなるのである。

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© 2010 日本保険学会
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