保険学雑誌
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新型インフルエンザ対策とリスク処理
羽原 敬二
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2010 年 2010 巻 610 号 p. 610_75-610_92

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抄録
現在,新型インフルエンザ対策は,国際機関,国,地方自治体,企業,医療機関,個人などによって各々計画・準備されている。その目的は,(1)パンデミック発生の予防・阻止,遅延,(2)健康被害の抑止と最小限化,(3)社会活動・社会機能の維持,(4)パンデミック終息後の被害からの早期回復,である。新型インフルエンザウイルスの脅威と実態を正しく認識し,適切な対策をいかに有効に実施するかが課題となる。感染症が海外で発生・流行した場合,国内への侵入を阻止する水際対策には盲点があり,検疫をいかに強化しても,それだけで国内発生を完全に阻止することはできない。パンデミック時には,不要不急な業務は極力休止し,重要な業務に絞って,感染予防対策を徹底した上で事業を継続することが必要となる。地球的規模での国家危機管理の認識に立って,国際的な協働・協力態勢に基づき,状況に応じた柔軟な感染症対策をより戦略的に実行する方策について考察した。
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© 2010 日本保険学会
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