抄録
新保険法では,大分類として,損害保険契約群と定額保険契約群とに保険契約を分類しているものと考えられる。この分類によれば保険代位の適用基準をどのように解すべきかが問題となる。従来,損害保険・定額保険といった分類標準に物財産保険・人保険といった分類標準も加えて考察し,人保険の性質に着目して,損害保険に強行法的に作用する利得禁止原則も人保険には任意法的に作用するものと解されてきた。こうした議論を踏まえて,新法の下でも,損害保険契約群に分類される保険契約に関しては人保険としての性質に着目し,利得禁止原則が任意法的に作用するものと考え,その帰結である保険代位の適用についても絶対的に肯定されるものではないということの理論的前提を提示している。特に旧商法には規定のなかった傷害疾病保険については諸外国でもあまり例のない類型化がなされており,これに関する影響について具体例をあげて考察している。