保険学雑誌
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死亡率統計のスムージングにおける数学的手法の提案
董 普久保 英也
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2011 年 2011 巻 614 号 p. 614_119-614_137

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抄録

死亡率の推計において,中国など新興保険市場では絶対的に標本数が不足したり,日本でもリスク細分化保険などにおいて既存の標本ではアクチュアリーが想定する死亡率ラインから外れたりする。いわば,ある種の統計上の歪が発生する場合がある。本稿では,歪んだ標本死亡率からより正確に数理計算に使用する死亡率を算定するための1つのスムージング手法を提案する。スムージング手法は,(1)修正後のデータ系列は観測データから大きくは乖離していない「Fit」の状態にあること,(2)先験情報を使うこと,(3)データ系列は円滑な序列である,という3要素を満たしていることが重要である。今回提案したスムージング手法は(1)〜(3)を1つの基本構造式と2つの制約条件に置き換え,その解を数学的に求めようとするものである。日本でも標本数が相対的に少ない乳幼児のゾーンと高齢者ゾーンに適用される第2次補整と第3次補整のチェックなどに応用できると考えている。

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© 2011 日本保険学会
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