保険学雑誌
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EUソルベンシーⅡについて
―新しい資本要件の方向性―
重原 正明
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2011 年 2011 巻 614 号 p. 614_99-614_118

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抄録

欧州で準備が進められる新ソルベンシー監督制度(ソルベンシーII)のうち,資本要件については,QIS5という試算の基準の形で基準案が示されている。試算基準では,資本要件の判定は,経済価値ベースの財務諸表の作成,必要資本の計算,資本の質を考慮した自己資本との対応の判定という手順で行われる。また保険会社グループに対しグループ監督者を定め,グループ・ソルベンシーの判定等の監督が行われる予定である。
ソルベンシーⅡは他の諸国のソルベンシー規制への影響とともに,グループ監督を通じて欧州域外の保険会社にも直接影響を与える可能性がある。従って検討を通じて提示されている「リスク分類」「リスク分散の反映」「自己資本の算入・階層分けの基準」「グループ監督に関する問題」等の各論点の検討動向には今後とも注目すべきと考えられる。

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© 2011 日本保険学会
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