抄録
本稿では,中国保険契約法の人保険契約における保険金受取人をめぐる諸問題として,(1)保険金受取人の指定・変更権者,(2)保険契約者が被保険者の雇用主である場合における保険金受取人指定の制限,(3)保険金受取人変更の方式,(4)遺言による保険金受取人の変更,(5)保険金受取人不存在の場合における死亡保険金の帰属に関する立法,司法および学説の動向を紹介する。その上で,保険金受取人に関する中国保険法の法理には,(1)保険金受取人の地位の低さ,(2)被保険者中心主義,(3)原則的,手続的な立法手法という三つの特徴があると結論付ける。