抄録
台湾の生保市場は他の国・地域より,比較的遅れて,2000年から変額保険の販売を始めた。導入してからわずか10年が経ったに過ぎないが,台湾での変額保険は,目覚ましい成長を遂げた。2007年の台湾生保の新規契約保険料収入の内訳で,変額保険の割合は5割強を占めた。本稿は台湾生保市場における主力商品の変遷を踏まえたうえで,変額保険の導入のきっかけとその理由について論じる。銀行窓販の開始および税制優遇などが変額保険の販売に有利な影響を与えたと考えられるが,急激な市場拡大のために,変額保険の販売をめぐるトラブルや不祥事も相次いでいる。今後,変額保険が持続的な成長と発展を続けるためには,販売にかかわるルールと規制をより明確することが不可欠であると考える。台湾における生保に関する税制改革が,変額保険そのものに及ばす影響についても継続して注視すべきであろう。