保険学雑誌
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近年における米国権原保険の状況
大城 裕二
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2011 年 2011 巻 615 号 p. 615_69-615_88

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抄録
権原保険は,保険契約の特質に根差す特異な機能を果たしている。それは,情報化社会前において,土地制度未確立の合衆国に役立てられた制度である。情報化とグローバル化が進展する今日,その遡及担保性と担保無期限性を特徴とする元来の担保構造は,基本的に変えられてはいない。情報ギャップに根差す権原保険の機能は,消費者に満足を提供しているのであろうか。その情報開示の問題と財務不透明性は,各州に燻ぶる権原保険改革論議の大きな焦点である。その大きな着地点として,Iowa州権原保証部の例が論議される。現在の権原保険業界の状況は,不動産抵当貸付に関わる事業展開に活路を開くのか,地域生活の基礎的リスクとして政府関与の構造を展開するのか,重大な検討期にあると考えられる。
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© 2011 日本保険学会
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