抄録
保険学や保険論をめぐっては,大学で一科目として保険理論をどのように位置づけるべきか,つまり,リスクマネジメント,さらには,金融分野の周辺科目とどのように棲み分けるか,という科目固有の問題が常に存在し続けきた。しかし近年,日本の大学のグローバル化とそのための制度整備が急速に推進され,保険学や保険論は他の科目と同様に,どのように変化に対応し,存在意義を発揮し続けることができるのか,という問題に直面している。
アメリカを中心とした世界の保険教育の趨勢を知ることは,日本でこれから加速する大学教育改革の流れの中での保険教育のあり方を考える上で大いに参考になるものである。つまり,科目体系化のためのナンバリングをはじめ,現在進行中の大学教育改革の流れに適応可能な保険教育へと変革することが,大学の一科目としての位置を確保することにつながると同時に,保険関連科目の体系化を実現するものになると言える。