保険学雑誌
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「保険取引からみた債権法改正」―平成25年度大会シンポジウム―
約款に関する規律と生命保険契約
白砂 竜太
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2014 年 2014 巻 624 号 p. 624_3-624_21

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抄録
民法(債権関係)の改正に関する中間試案では,約款に関する規律の創設,具体的には,(1)組入れ要件(約款を契約の内容とするための要件),(2)不意打ち条項規制(合理的に予測できない約款条項の組み入れ除外),(3)約款使用者による約款の変更,(4)約款を対象とする不当条項規制が示されている。
生命保険契約は生命保険約款により取引され,生命保険約款では給付の内容,具体的には「保障」の内容が記述されている(給付記述条項)。一般論として,保険約款中の保障の内容に関する規定の法的効力が不安定になると,保険給付の対象が拡大し,保険の技術的基礎である収支相等の原則,給付反対給付均等の原則を維持できなくなる可能性がある。
保険契約の上記のような特徴は,約款に関する規律の適用(検討)にあたって十分に考慮すべき事情であると考える。
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© 2014 日本保険学会
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