抄録
消滅時効の起算点に係る民法166条1項の改正,法定利率変動制移行に伴う中間利息控除の利率に関する規定の新設等は,保険契約実務に影響が及ぶ可能性があり,保険約款の改訂が必要となる場合もあり得ると考える。約款の内容規制に係る規定の新設は,保険約款規制の実効性を高めるものと評価でき,意義のあるものであるが,保険約款の特性を包含できる明確な適用範囲と判断基準の規律に向けた更なる検討が必要である。また約款の変更に関する規定は,保険契約者等保護の強化という保険法現代化と調和し,適切な約款の欠缺補充が可能となる内容に改められるべきである。