保険学雑誌
Online ISSN : 2185-5064
Print ISSN : 0387-2939
ISSN-L : 0387-2939
「保険取引からみた債権法改正」―平成25年度大会シンポジウム―
民法改正と保険法
-民法(債権法)改正は保険実務に影響を与えるか?-
山下 純司
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 2014 巻 624 号 p. 624_65-624_80

詳細
抄録
現在,民法(債権法)の改正についての議論が法制審議会で行われているが,保険実務,あるいは保険法学に対して,この民法改正はいかなる意味を持ちうるのだろうか。実定法レベルでは,一般法としての民法と,特別法としての保険法の競合関係について,場合を分けて考える必要があるが,その影響は限定的である。しかし,原理レベルでは,近時の契約理論の動向をふまえた民法への改正は,かつての民法が説明しきれなかった保険契約という契約類型を,契約一般の理論の中に原理レベルで再統合し説明していくきっかけとなる。そこでは,保険実務の中で発展してきた保険契約法のルールをもう一度見つめ直し,合理性の認められる部分については,新たな民法のルールに立法論あるいは解釈論のレベルで反映させる努力が必要である。
著者関連情報
© 2014 日本保険学会
前の記事 次の記事
feedback
Top