抄録
若年層の生保離れ等の実証に向け,2011年度までの約55年間を推定期間とする個人保険需要(かんぽ生命を除く)の時系列回帰分析をした。例えば,被説明変数の1つとした保有契約高増減率は,実質民間最終消費支出,消費者物価指数,雇用者数の各増減率および実質一般勘定利回り(率の階差)を説明変数とするモデル等が,高い説明力を示した。一方,同じく被説明変数である新契約件数増減率のモデルは,1995年度を境に変化し,20代を中心とした若年層の生保離れの一端を実証できた。この問題の解決には,小口の一時払終身保険を用いた資産・信用形成等,新たな提案が求められよう。