2014 年 2014 巻 625 号 p. 625_177-625_197
韓国における生命保険産業は,伝統的に政府による護送船団方式の規制・監督が行われてきた。1980年代からは,米国からの市場開放の要求を受け,1987年から米国系保険会社の参入を認めている。その後,1996年のOECDへの加入,1997年のIMF金融危機を通じて,規制は大幅に緩和され,自由競争が促進された。その後,2012年には韓米FTAが発効した。韓米FTAでは,保険産業に関して保険市場のさらなる規制緩和措置とともに,隣接業界との規制・監督の一元化,すなわち保険産業と隣接業界との対等な競争条件を図ることを求めている。
規制・監督の一元化は,生命保険市場の競争を促進する効果がある。一方で,隣接業界も生命保険会社の経営目標と同じように選別的保険引受と超過利潤分配を優先すると,すべての消費者の需要と期待を充足させない可能性がある。その解決策としては,生命保険市場の範囲内のみではなく,社会保障との連携性も考慮しながら新しい対策を進める必要がある。