保険学雑誌
Online ISSN : 2185-5064
Print ISSN : 0387-2939
ISSN-L : 0387-2939
ARTICLES
損保3大ホールディングスのエコノミック・キャピタル
-資本規制の国際動向と財務的観点によるアプローチ-
岩瀬 泰弘
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 2015 巻 629 号 p. 629_131-629_151

詳細
抄録
損保3大ホールディングスを財務的観点から分析した。収益性についてはEVAを用い,流動性(健全性)についてはECMを利用した。各ホールディングスは,統合効果,Leverage Index,投資戦略,EVAの各要素(NOPAT,有利子負債コスト,自己資本コスト)に差異が見られるものの,総じて言えば自己資本が不足している,あるいはエコノミック・キャピタルが高いことが考えられる。これは経営指標としてROEを使っているからである。資本を取り巻く国際環境(IFSR,バーゼル規制改革)が変化する中,ホールディングス形態は経営統合・機能別再編が容易になる一方,資本の有効活用が今まで以上に求められる。損害保険会社は,例えば純利益から自己資本コストを控除したEVAをECMに応用するなど,新たな経営指標をバリュードライバーとして導入し,収益性と流動性(健全性)を維持・向上させる必要がある。
著者関連情報
© 2015 日本保険学会
前の記事 次の記事
feedback
Top