保険学雑誌
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日本と英国の地域共済に関する比較考察
宮正 一洋
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2017 年 2017 巻 636 号 p. 636_167-636_187

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抄録

英国には,中世が起源とされる友愛組合が,相互扶助を目的に固有の根拠法(友愛組合法)に基づき,今も存在している。友愛組合は,当初は庶民の冠婚葬祭等における相互扶助に始まり,1911年成立の国民保険法下では,一時期,公的な保険者の役割を担うも,1948年のNHS 創設(国営化)後はその地位を失い,公・私の医療保険混合型制度の下で再び民間保険の役割に回帰し,今日では,英国の金融監督規制機関の下で生命保険会社に伍して各種保険・金融商品を取り扱っている。
友愛組合の組織形態から派生した協同組合は,わが国の生活協同組合(生協)のルーツでもある。わが国の共済生協は,消費生活協同組合法を根拠法とし,多くは生命や傷害の共済制度(商品)を提供している。しかし,わが国の医療保険制度は,英国のような公・私混合(並存)型ではないため,シンプルな定額給付型で少額な掛金の制度となっている。

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© 2017 日本保険学会
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