保険学雑誌
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保険会社のICTを使った危険測定と自動車保険契約等への影響
-人工知能及び自動運転を対象として-
肥塚 肇雄
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2017 年 2017 巻 636 号 p. 636_189-636_208

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抄録
保険会社は,被保険者又は保険の目的物に情報端末機を装着又は装備し,情報を収集・解析するビッグデータの利活用により精度の高い危険測定が可能となった。この危険測定によっても,保険契約は保険法の枠内におさまる。
しかし,(完全)自動運転車による事故の責任のあり方自体に議論があり,上記方法による車両の危険測定を行えば,いくつかの課題が浮き彫りにされる。(完全)自動車事故が惹起された場合,事故関係者が拡大しシステムが複雑化するのに,現行の自動車損害賠償保障制度の枠の中で,何の問題もなく被害者救済を維持できるのかは疑問がある。被害者救済において世界に冠たる現行の自賠法を維持・存続させるためには,(完全)自動運転車事故に適正に対応できるように手当を講じる必要がある。
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© 2017 日本保険学会
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