抄録
保険法が施行されてから7年以上が経過しているが,片面的強行規定の効果が拡大解釈されていたり,各規定の趣旨が正しく約款に反映されていないものなどが散見される。契約法である保険法の各規定の趣旨と,保険業法等に基づいて監督上の観点から保険会社に求められる要請とを明確に区別し,保険法の趣旨に遡って実務の見直しを検討していくことが重要である。
保険法は保険契約者等の保護のための規定を数多く設けているが,同時に,モラルリスクの排除や契約当事者間の衡平性の観点から規定を設けているものも存在する。保険法は保険契約者側の利益と保険者の利益とのバランスを意識しながら規定を設けているものであるため,単に保険契約者等にとって有利に運用すればよいと考えるのではなく,保険法が想定している各当事者の利益のバランスを正しく理解し,必要に応じて現状の実務を変更していくことが,将来の保険制度の健全な発展に資するものである。