2018 年 2018 巻 643 号 p. 643_1-643_23
近時,生命保険会社・損害保険会社の「告知義務に係る募集・解除(支払)実務」は,保険法制定と保険金不払い問題という2つの事象により,大きく変容した。
募集実務の変容点としては,分かりやすい告知書の志向,告知環境の整備,告知サポート資料の提供等を,解除(支払)実務の変容点としては,私法(保険法)・約款等基礎書類に従った対応,募集時の状況に鑑みた支払判断,始期前発病不担保に係る情報提供を,それぞれ挙げることができる。
保険会社が告知義務違反解除の可否等を検証するに当たり,精緻な法律的検証(法律論)は重要であるが,「アンフェア・信義則(禁反言の原則)」のような常識論的・感覚論的観点の重要性は「保険金不払い問題」からの教訓であり,現在の保険会社実務においても,忘れず・変わらず,重要視されるべきものである。