2022 年 2022 巻 656 号 p. 656_41-656_53
日本は世界でもまれにみる地震リスクが高い国であり,そのリスクを補償する保険の必要性,ニーズは極めて高い。しかしながら発生頻度が低く,ひとたび大地震が発生すると巨大な損害をもたらすという地震の特殊性ゆえに保険制度の成立や運営には困難性が伴う。新潟地震を契機に1966年に創設された我が国の地震保険制度は,これらの困難性に対する工夫がなされ,特徴のある保険制度となっている。今後も南海トラフの巨大地震等の発生が懸念される中で,社会のレジリエンス機能のひとつとしての貢献が期待される地震保険の保険料率が,保険制度化を困難にした地震災害の特殊性にどのように対応しながら算出しているか,地震保険制度の概要,変遷とともに紹介する。