2022 年 2022 巻 659 号 p. 659_261-659_283
韓国における巨大災害に対するリスク・ファイナンシング(Risk Financing)としての保険制度の活用は,次のように要約できる。第一に,自然災害とそれ以外の災害を⽝災難および安全管理基本法⽞の中で「自然災難」と「社会災難」に分類し,その対応を統合的に一元化している。第二に,自然災害に対する政策保険では公私の危険分担が行われている。政府は,保険会社の安定的な事業の運営のために,政策保険の再保険を引き受けている。この政府による再保険の引受は,損害率200%を超える損害に対して行われるものであり,それ以下の損害率の損害は,民間保険会社の責任による再保険会社などへの再保険によって危険分散が行われる。第三に,自然災害に対する政策保険は,原則的に任意加入として政府と地方自治体が保険料を支援している。一方,「社会災難」に対しては,民営の火災保険と賠償責任などへの加入が強制されている。