2024 年 2024 巻 665 号 p. 665_19-665_36
本稿は,先端医療における公的医療保険制度の適用対象・範囲を確認し,現行の公的医療保険制度の問題点について分析を行い,保険理論から見た先端医療をめぐる公的医療保険制度の改善点など新たなる提言を行ったものである。まずはじめに,現代医療における先端医療を概観し,その先端医療が現行の公的医療保険制度でいかに取り扱われているかを整理した。現行制度を踏まえた上で,治験・先進医療が保険収載,患者申出診療に承認されるまでの壁について,2023年3月9日に先進医療Bに承認された「がん遺伝子パネル検査」を取り上げ,具体的な問題点について検討を行った。そして,最後に先端医療をめぐる公的医療保険制度への新たなる提言として,「保険適用範囲」「予防医療」「保険者機能の強化」「ビックデータの構築」をテーマに現行の制度設計の見直しについての提言を行った。